Q.苔が枯れてしまいました。どうしたら育ちますか?

A.大切にされている苔が枯れてしまうと残念ですね。苔は実は非常にデリケートなんです。ちょっとした環境の違いで苔の育ちが左右されてしまいます。

 逆にいえば、苔にあう環境を知っていれば、上手に苔を育てることができるということになります。

 では、苔の育つ環境はどんな環境でしょうか。

 よく言われるのは、湿った場所で常に霧吹きで水がかかっているようなイメージがあります。

 しかし、苔にはたくさんの種類があって、種類ごとに育つ環境がまったく違うのです。

 そこで、代表的な苔3種類について、育て方を説明しましょう。

①スナゴケの育て方

 スナゴケは乾燥地の日当たりの良い砂地に群落をつくります。なので、砂に生える苔という意味でこの名がついたのではないかと想像します。

 苔は日陰のじめじめのイメージとは真反対なのが特徴ですね。日当たりが良くないといけないわけです。そして、じめじめではあくて、比較的排水の良い場所ということになります。

 つまり、スナゴケは乾燥にとても強いということです。逆に日陰ではうまく育たないので注意が必要です。

 日向の庭に植える時は、表面に川砂を敷いてその上にスナゴケをしっかりと叩きながら植えるといいでしょう。砂は荒くなく細かい方がよいですね。さらに、苔の上にもうっすらと砂をかけると隙間を埋めてくれるのでよりよいでしょう。

 重要なのは、選ぶ環境です。スナゴケの特長が生かせる適切な場所に植えておけば、強い苔なのでメンテナンスは楽になります。

②スギゴケの育て方

 スギゴケは昔から人気の苔で、特に京都ではよく使われています。乾燥には強い種類ですが、乾燥が進むと先が尖って茶色になります。それでも、水を与えればもとに戻ります。

 半日程度の日照が必要です。1日中日が当たると色が薄くなるので望ましくありません。

 スギゴケは、粘土質の土壌で育てています。そのまま地面に貼っていくように植え付けますが、表面に細かい川砂をかけて隙間をなくすとよりよいでしょう。

 スギゴケはどんどん生長して背が高くなっていきます。ほっておくと根元が日陰となり芽数が減っていきます。

 そこで昔からメンテナンスとしてされているのが、月1回程度の苔踏みです。スギゴケの上を踏んでいき、苔を折るのです。すると、新しくしたから苔が出てきます。いわゆる更新作業ですね。他にも、刈り取る方法もあります。手間がかかりますが、よりキレイになります。

 苔は踏むなというのが多くの方のあたりまえになっていますが、スギゴケは逆にたまには踏めなんですね。

 

③ハイゴケの育て方

 ハイゴケはまさに這うようにして生長する苔です。逆にいえば這っているだけなので、根がほとんどなく、あっても仮の根程度ということで仮根と呼ばれ、強風が吹くと飛んで行ってしまいます。

 なので、植える時は苦労します。飛ばないように川砂をすこし多めに上から撒いたりします。また、土中の虫を求めて取りが苔をひっくり返します。これは芝生の時もよくあります。防ぐためにネットを巡らせたりもします。

 ハイゴケはその美しさゆえ、出雲地方では庭にとても多くつかわれてきました。乾燥にも強く、ある程度の日向と日陰に対応できるため、育てやすい苔となります。よく、松林の下に生育しているところを見ます。松葉と相まって、風で飛んでいくのを防いでいるようです。なるほどですね。

 ハイゴケは程よい湿度が望ましいので、灌水を定期的にしてあげましょう。乾燥すると細くなるので、そうなってきたら灌水の目安です。また、上を歩いても這うような形状のため問題がありません。メンテナンスでも気にせず歩くことができます。ただし、根がないのでホウキで履くともっていかれてしまいますので注意が必要です。

 逆に風任せにあちこちにとんでは、そこで育っていきます。他の苔よりも強いので、別の種類の苔を育てているところに入ってきたら、早めに取り除いた方がよいでしょう。

 以上、代表的な庭苔を紹介しました。このように苔は見た目は似ていても育つ環境は全く違います。また、よく苔のイメージとして考えられていることが決して正解とは限りません。

 まずは、お手持ちの苔が、生育に適している場所にあるかどうかを確認ください。次に、必要な手入れができているかどうかを確認ください。その上で病気などを疑ってみましょう。